大忙しのツバメの子育て

令和3年6月25日(金)14:00

 ツバメは夏の時期を日本で過ごす「夏鳥」といわれる渡り鳥です。春になると、フィリピンやベトナム、マレーシア、インドネシアなど遠く南の方からはるばる日本へとやってきます。これは、距離にしておよそ2,000km~5,000kmにもなります。

 大井小学校でも毎年5月から7月頃にかけて、ツバメのつがいが、校舎の軒下などに巣を作り、子育てをしています。今年も、1階玄関下の軒下と2階渡り廊下の天井の2か所で、子育てをしています。 親鳥は昨年、子育てに使った巣と同じ巣に戻ってきて、そこでまた子育てを行っています。あえて人のいる場所に巣づくりをするのは、外敵から身を守るためだと考えられています。人の存在によって外敵を遠ざけたり、同じ巣を再利用したりするというのは、なかなかの知恵者ではないでしょうか。

一度の子育てで、ツバメは5個前後産卵します。 卵はおもに雌の親鳥があたため、産卵から孵化まではおよそ2週間です。ちょうど1週間前に孵化したひなが、1階玄関下の軒下で3羽と2階渡り廊下の天井で4羽が確認できます。孵化から巣立ちまでは3週間ほど、ひなはたくさんの餌を食べてどんどん大きくなります。

 ツバメの餌はウンカやハエ、ガ、アブなどの小さな虫です。ひなは1日あたり1羽で100匹以上の虫を食べているという報告もあります。給餌は雌雄の親鳥が協力して行っていますが、親鳥はかなり大変そうです。 ひなが大きく口を開けて餌をねだる「餌乞い(えごい)」。お腹がいっぱいになったひなは餌乞いを行わなくなって後ろに下がり、お腹がすいているひなは前に出てくるので、偏りなく餌を与えることができるそうです。

 大井小学校の2か所の巣で子育てに奮闘し、頻繁に餌を運ぶ親鳥と大きく口を開けて餌をねだっているひなの様子は微笑ましく、心を和ませてくれます。後2週間ほどで巣立ちを無事迎えることを願わんばかりです。

 巣立ちしたひな鳥たちは、巣立ち後もしばらくは巣の近くにいて、親鳥は餌を与え続けるそうです。だんだんと飛べる距離も伸び、自分で餌をとる力もついてくる、9月~10月になると、ツバメたちは大井を離れ、海を越え、南方へと渡っていきます。そこで冬を過ごし、次の春、再び大井にやってくるのです。何かとっても不思議な気がしますね。何千㎞も離れた南方から、ツバメたちはどうして、同じ場所に戻ってくることができるのでしょうか・・・?