校長室だより~「3.11」~

3月11日(火)

2011年3月11日に起こった東日本大震災から14年が経ちました。私的なエピソードで恐縮ですが、当時の記憶をたどり、今後の防災のあり方を考えたいと思います。

地震発生当時、中学校の部活動に顔を出していた私は、屋外で生徒と一緒に体を動かしていたので、実は地震には気づいていませんでした。職員室にいた先生方は、一様に「めまい」と錯覚し、違和感を覚えた教員の言葉で、長周期地震動(震度3~4)であることを自覚しました。テレビでは、想像を絶する災害の様子が次々と中継され、「永井先生、大変なことが起きているよ」と、大声で教えてくれる先生がおり、活動の中断を指示して職員室へ戻りました。

この地域は大きな被害はないのの、太平洋岸に広範囲で大津波警報~津波注意報が発令されていることを知りました。それも、時間とともに警報レベルが上がるという経験も初めてでした。生徒が安全に下校できる体制を確認して残っている生徒に一斉下校をさせる判断となりましたが、今考えると「未曾有の災害」に十分な備えができていなかったことを反省しています。

災害の中継は夜遅くまで続き、現地で雪の降る中の「大きな余震」「解除されない津波警報」「津波火災で延焼が広がる街」の映像は、現実のものとは思えず、その後に続く「原発事故」は、映画化もされ、国の存亡に関わる大きな災害となりました。

その後1年以上も東北・関東地方では大きな余震が起こり、震度7を2度経験する熊本地震や半島の災害リスクを顕在化させた能登半島地震など、全国的に災害が続いています。明日起きてもおかしくないと言われる南海トラフ巨大地震に加え、北海道南西の千島海溝付近でも大きなひずみが蓄積されており、マグニチュード9クラスの巨大地震の発生が懸念されています。「災害時は、備え以上のことはできない」という教訓を踏まえ、自助・共助で可能な備えをしていきましょう。まずは、ご家族での対話から・・・。

*「釜石の奇跡」と言われた中学生がリードする地域住民の避難行動は、「率先避難(津波てんでんこ)」「想定外をつくらない」「最善を尽くす」の3つの言葉をキーワードとして、事前に行われていた避難訓練の賜です。津波に限らず、正常性バイアス(=たぶん大丈夫)を廃し、“空振り”ではなく“素振り”という考え方で、いざというときに対処する姿勢が、防災教育において広がっています。