3月26日(水)
春休み中の校庭開放を伝えたこともあり、昨日の運動場には砂遊びや、遊具遊びやサッカーをする小学生、バレーボールの練習をする中学生がやってきて、「一日大放課」のような光景を嬉しく思いました。
学校教育では、学力や体力を高める方法として、長年「競い合うこと」も高め合う手法の1つとしてきました。運動会や体育大会など、体育・スポーツで目立つ手法で、オリンピックなどの国際大会では、国民全体の高揚感にもつながります。選手の活躍に勇気づけられることも多くあり、私もその一人です。
一方、一人一人のウェルビーイング、SDGs(誰一人取り残されない持続可能な社会)、多様性・多文化共生の実現を目指す時代にあっては、「勝者敗者の決定」がゴールとなる展開は、対立や禍根を残しがちです。人権に関する意見の相違、戦争や紛争の終焉が見えない世界情勢を見ると、今子どもたちに経験させたいことは、「競争」「白黒をつける」ではなく、「相互理解」「違いを克服する折り合い・着地点」を見いだす学びです。

国語科では「反対言葉」「対義語」の学習があります。「長い」⇔「短い」、「進化」⇔「退化」、「平和」⇔「戦争」などが例としてあげられますが、国語的には正しい答えも社会の中では正解とは言えません。「長い」「短い」は、前提となる棒状の形態は反対ではなく「共通」です。「退化」の例として上げられる人間の盲腸も、無用の機能を低下させたと考えれば「進化」と言えるかもしれません。「平和」を人の心がつながり、みなが幸せに暮らせる状態と定義すれば、「戦争」だけでなく「差別」「虐待」「いじめ」なども、「平和」の対局にある状態と言えます。大切なことは、ものごとを論じる時には、「国語で考えれば」「社会的には」「科学的には」など、立場や前提を確認し、すれちがいを減らす努力です。
「二極化」による効率化や、フェイクを持ち出して「対立」を煽って利益を得ることが、まかり通るようになった社会を生き抜く力は、「勝ちは負けか」「10かゼロか」ではなく、みんなの幸福度を高め、その後も協働できる折り合いの付け方を探り続ける力です。「不易流行(=持続するために必要な変化)」を見定め、対話を重視し、目標は適宜変えながら根気よく目標達成をめざす姿勢に欠かせないのは、もちろん「笑顔」です。

*「がんばり」は、「よい休息」があって持続します。子どもたち・ご家族にとって、よい春休みとなりますように・・・。